【実例あり】自由には責任がつきもの?DeFiでありがちな失敗と対策ー他人の悪意編ー

DeFiの世界には夢がありますよね。

中央管理者のいない自由な金融、個人が主役になれるチャンス、そして高利回りの可能性。

しかし同時に、そこには悪意ある第三者による罠も数多く潜んでいます。

厄介なのは、「自分はそんなに悪くないのに」被害に遭うケースもあるということ。

今回のテーマは、DeFiにおける第三者の悪意や操作によって起こる失敗例。

オレオレ詐欺なんかと一緒で、知っておけばそういう可能性を前提に行動できるので、また実例をチェックしておきましょう!

 

前回「自分のミス編」はこちらから。

 

詐欺被害:あなたの資産が狙われている!

 

巧妙な詐欺は初心者だけでなく、経験者さえも陥る落とし穴。

しかも、一度騙されてしまうと、その資産はまず戻ってきません。

ここでは、よくある詐欺パターンを紹介しながら、どんな対策ができるのかを見ていきます。

 

①フィッシングサイトの実例:MetaMask偽サイト詐欺(2022年)

 

2022年頃、Google検索結果やTwitter広告に「MetaMaskの偽サイト」が大量に出回り、ユーザーがウォレットを接続 → 秘密鍵を盗まれて資産を全額抜かれる事件が相次ぎました。

この詐欺の怖さは、検索1位に本物そっくりの偽サイトが出てくること。

MetaMaskの公式Twitterも「ブックマークを使うように」と呼びかけていました。

 

フィッシングサイト詐欺を回避するには

 

  1. 正規URLをブックマークする
  2. 検索ではなく直接アクセスする
  3. ウォレット接続前にURL確認

DeFiに限らず普通のネットショッピングでも言えることですよね。

検索ではなくブックマークで直接が安心!

 

②Approve詐欺の実例:DeFi100の操作権限詐欺(2021年)

 

「DeFi100」というプロジェクトで、ユーザーがApproveした資産が勝手に引き出される事件が発生。

実は最初から運営が仕込んだスマートコントラクトの罠でした。

その後、公式サイトには「You just got scammed(詐欺られてやんの)」という挑発的なメッセージが表示され、大炎上。

これは聞いているだけでも腹立たしい!

でも、悪意あるスマートコントラクトとは知らずにユーザー自身が「許可」(Approve)を与えてしまうため、気付きにくい場合があります。

 

Approve詐欺を回避するには

 

  1. 初めて使うDAppには少額でテスト
  2. 権限はRevoke(取消)できるツールで定期確認(例:Revoke.cash)

やっぱり信用できるまで高額は危険ですね。

Revoke.cashは、自分のウォレットが過去に与えた権限(Approve)を一覧表示・取り消しできる無料ツールです。

 

ラグプルの実例:Squid Game Token事件(2021年)

 

韓国ドラマ『イカゲーム』に便乗した「Squid Game Token(SQUID)」は一時、100倍以上に暴騰。

しかしその後、開発者がトークンを全部売り抜けて消失

価格はゼロに暴落、ユーザーの資金は完全に持ち逃げされました。

この事件はメディアにも多数取り上げられた典型的なラグプルです。

「ラグ(敷物)を急に引っ張る」ように、投資家を置き去りにするイメージからこの名前が付けられました。

 

ラグプルを回避するには

 

  1. 開発元・GitHub・監査情報の確認
  2. 異常に高すぎるAPYや「話題性だけ」のプロジェクトは注意

計画的な詐欺であることがほとんどです。内容のチェックは必須!

 

エアドロップ詐欺の実例:「UNI V2」トークン事件(2023年)

 

2023年、Uniswapの偽トークン「UNI V2」が複数のウォレットに突然送られる事件が発生。

ユーザーが「なんだろう?」とスワップしようとすると、その操作をトリガーにウォレット内の他の資産が盗まれるという仕組みの詐欺でした。

正規プロジェクトにそっくりな名前やシンボルで、ユーザーの油断を誘う巧妙な手口。

また、トークンを勝手に送ってくるため、エアドロップか何かと誤解してしまいやすいのです。

 

エアドロップ詐欺を回避するには

 

  1. 見知らぬトークンは絶対に触らない・移動しない
  2. Scamトークンはウォレット上から非表示にするだけでOK

昔、私も寝ぼけて見知らぬメールに添付されたURLを踏んでしまい、えらい目にあったことがありますが、それに似ています(^^;

とにかく覚えのないものは無視が一番。

 

ハッキング被害:コード1行が資産を奪う

 

DeFiでは、コードの脆弱性を突いたハッキング被害がけっこうあります。

スマートコントラクトに仕込まれた“たった1行”のミスや裏口が、数億円単位の資産を奪うことも。

人ではなく“コード”が信用の基盤だからこそ、こに小さな綻びがあれば、攻撃者にとっては格好の獲物になります。

 

実例①:Ronin Network(Axie Infinity)ハッキング事件(2022年)

 

人気ブロックチェーンゲーム「Axie Infinity」のネットワークを支えるRoninが、たった9回の不正署名で約6億ドル(約750億円)相当の暗号資産を盗まれるという衝撃事件。

原因は、ノードのうち5つの秘密鍵を攻撃者が掌握していたこと。

分散管理が形だけだったという痛恨の落とし穴でした。

教訓: 中央集権に近い運用は、たとえDeFiでもリスク大

 

実例②:Wormholeブリッジの脆弱性ハック(2022年)

 

異なるブロックチェーン間で資産をやりとりできるブリッジ「Wormhole」で、検証不足のコードの脆弱性を突かれ、約3億2,500万ドルが奪われました。

原因は、イーサリアム側での偽造証明が通ってしまったこと。

コードレビューが不十分だった点が指摘されました。

教訓: クロスチェーン技術は便利だが、技術的な複雑さ=攻撃リスクの高さでもある

 

実例③:bZxプロトコル フラッシュローン攻撃(2020年)

 

DeFi黎明期に注目を集めたbZxでは、フラッシュローンを利用した複数の攻撃が発生。

瞬間的に大金を借り、価格操作や抜け穴のあるスマートコントラクトを利用して利益をかすめ取るという手口。

スマートコントラクト自体は正しく動いているのに、“設計の想定外”が突かれました。

教訓: コードの脆弱性だけでなく「設計の甘さ」も大きなリスク

 

ハッキングによる個人への被害

 

実例として挙げたこれらの事件では、

  • 預けていた資金が一部戻らない
  • ステーキングやファーミングの利回りが止まる
  • トークンの価値が暴落して、実質的な資産喪失

などの間接的かつ重大な損害が生じます。

また、開発元が逃げた場合や、補填されないケースでは、自己責任の名のもとに損失確定してしまうこともあります

 

ハッキング被害を回避するには

 

監査済み・信頼性の高いプロトコルを選択

 

  1. TVL(預かり資産総額)が大きく、運用実績のあるプロジェクトを優先。
  2. 監査レポート(CertikやSlowMistなど)を公開しているかチェック。
  3. WebサイトやGitHubに技術・開発情報が透明に開示されているかもポイント。

このようなところであれば、セキュリティに対しても信用ができるということですね!

 

復習:分散投資/少額テスト/怪しい高利回りへの警戒

 

  1. 一つのプロトコルに全資産を預けない。
  2. 初回は必ず少額で入金・出金テストをしてから本格利用。
  3. APY 1,000%超えは大抵、誰かが損をしている裏返し。謎プロジェクトの新規参入にも慎重に。

前回の記事や詐欺被害のところでも述べた内容ですが、ここでも大事なのでもう一度^^

 

仕様の穴:DeFiの「設計」があなたを不利にする

 

DeFiでは、すべてがコードで動いており、人間の裁量は介入しません。

それゆえに、プロトコルが“仕様通り”に動いていても、利用者が一方的に損をしてしまうケースがあります。

トークン価格が不自然に動いたり、他人の操作によってあなたの資産が意図せず減ってしまうこともあるのです。

 

実例:Curveの「オラクル操作」事件(2022年)

 

2022年、DeFiの大手ステーブルコインDEX「Curve」で、オラクル価格の一時的な歪みを突いた攻撃が発生。

攻撃者は、対象ペアの価格がずれていることを利用し、本来より安く買って高く売るという方法で利益を得ました。

この問題の本質は、価格情報(オラクル)がリアルタイムではなく、外部の価格に依存していたこと。

通常運用なら問題のない設計でも、一時的に流動性が低下した瞬間を狙われたのです。

結果的に、プールに資産を預けていた一般ユーザーが損失を被りました。

「預けていただけなのに価値が減っていた」──原因はコードのバグではなく、仕様上の穴です。

 

仕様リスクを回避するには

 

仕様の穴をついた第三者による悪意や不正な操作は、残念ながらけっこう防ぎきれません。

とすれば、仕様の穴ができるだけなさそうなところを選んでいくしかないということですね。

対策としてはこれまでの繰り返しになりますが、

 

  1. 透明性の高いプロジェクトや監査を受けたプロトコルを優先的に利用
  2. 高利回りを謳うプロジェクトや急成長するプロジェクトは慎重に調査

信頼できるかどうなのかを自分の目で丁寧に見ていく、これにつきます!

 

まとめ

 

DeFiは自由で魅力的だけど、その分リスクもそれなりにあります。

ハッキングや詐欺など、他人の悪意によって予期せぬ損失を受けることも……。

でも、信頼できるプロジェクトを選び、透明性やセキュリティがしっかりしているところを使えば、リスクを減らせます。

そうでなくても私たちは迷惑メールや電話を日々受けているわけですし、

・信頼できるかどうかをどうやって知るのか

・怪しいところから接触があったらどうすべきか

というあたりは知らず知らず鍛えられていると思います!

結局大事なのは、自分の資産は自分で守るという意識。

そもそも投資なのですべてのリスクを完全に防げるわけではないけれど、賢く選んでしっかり対策していけば良いのです。

 

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