【実例あり】自由には責任がつきもの?DeFiでありがちな失敗と対策ー自分のミス編ー

DeFi(分散型金融)の魅力は、中央の管理者なしで自由に金融サービスを使えることですよね。

銀行ができないようなこと、例えば24時間取引可能、国境を越えた送金、さらには仲介者なしで資産運用までできる。

この自由は、まさにDeFiの魅力ですが、自由にはそれ相応の責任が……。

自分で資産を管理し、運用していくため、慎重に行動しないと、思わぬリスクにさらされることも!

ちょっと長くなるので2記事に分けて、実際に起きた事例を交えつつ、DeFiでありがちな失敗とその回避法を紹介していきます。

今回はその中でも、自分に非があるパターン。

自分を責めるしかなくなってしまう前に、読んでおいて損はないと思います!

DeFiって?という方はこちらを先にどうぞ。

 

秘密鍵の紛失:資産が永遠に封印

 

秘密鍵を紛失すると、そのウォレットに保管されている資産は、仮想的に「永遠に失われる」ことになります。

これがDeFi(分散型金融)の自由で分散された性質の一部であり、怖さ!

銀行のような中央集権的な管理者がいないため、もし鍵を紛失しても誰も助けてくれることはありません

 

実際の事例:ジェームズ・ハリス氏の8,000BTC

 

2021年、ビットコイン投資家であるジェームズ・ハリス氏が約8,000BTCを失ったことが報じられました。

秘密鍵を紛失し、ウォレットにアクセスできなくなってしまったのです!

秘密鍵はウォレット内の資産にアクセスするための唯一の手段であり、それを管理していないと、どんなに大切な資産でも取り戻すことができません。

ハリス氏はウォレットのバックアップを取っておらず、シードフレーズも保存していなかったため、ビットコインを復旧する方法は一切ありませんでした。

彼は数ヶ月にわたり、パスワードや秘密鍵を思い出そうとさまざまな方法を試みましたが、結局、全ての試みは無駄に終わり、そのビットコインは失われてしまいました……。

といっても、秘密鍵を思い出せるなら何年経ったとしても復旧できるはずですけどね。

この事件が注目された理由は、失われた資産の額があまりにも大きかったからです。

当時、1BTCの価格は約5万ドル前後だったため、失われた8,000BTCの資産価値は約400億円に達しました。

今これを書いている2025年5月時点では、1BTCは9万6000ドル!一層恐ろしい!

ハリス氏の失敗は、DeFiや仮想通貨の投資家にとって、自己管理の重要性を改めて認識させる警告となりました。

 

秘密鍵紛失を回避するには

 

安全な場所で管理

 

ウォレットの秘密鍵や復元フレーズ(シードフレーズ)は、必ず安全な場所にバックアップを取る必要があります。

デジタル的な保存方法としては、外部ハードディスクやクラウドが一般的ですが、クラウドに保存する際は暗号化しておくことをお勧めします。

物理的なバックアップとしては、紙に書いて金庫などに保管する方法も有効です。

 

分散させて管理

 

バックアップを取る際は、秘密鍵を単一の場所に集めず、物理的に分散させることでリスクを軽減できます。

例えば、家の中で異なる場所に保管する方法や、信頼できる場所に分けて保管する方法もあります。

 

ウォレット管理ツールの使用

 

最近では、ウォレットの管理をサポートするツールも登場しており、これらを使うことで「秘密鍵を忘れる」というリスクを減らすことができます。

ハードウェアウォレット(例:Ledger, Trezor)
→ インターネット非接続で管理、セキュリティ重視の王道

パスワードマネージャー(例:1Password, Bitwarden)
→ 複数の鍵情報を一元管理。二段階認証との併用推奨

暗号化USBや外部デバイス
→ 自分だけがアクセスできるように設定可能。ただし紛失注意

カストディサービス(例:Coinbase Custody)
→ 多額資産を預けたい場合の選択肢。機関投資家向け

 

こうしたツールは、「うっかり忘れる」「間違って削除する」といった人的ミスのリスクを大きく減らす助けになります。

自分に合ったツールを組み合わせて、しっかり資産を守りましょう!

 

ガス代を軽視した失敗:利益が手数料で溶けていく

 

Ethereumなどのブロックチェーンでは、取引を行う際に「ガス代」と呼ばれる手数料が必要です。

このガス代は、取引の複雑さやネットワークの混雑状況によって変動します。

しかし、ユーザーがガス代を過小評価したり、設定を誤ったりすると、取引が成立しなかったり、過剰な手数料を支払ってしまうことがあります。

 

実際の事例:匿名ユーザーが34.26ETH(約9万ドル)を誤って支払う

 

2024年8月、ある匿名のEthereumユーザーが、わずか0.87ETH(約2,262ドル)の送金に対して、34.26ETH(約89,200ドル)のガス代を支払うという「ファットフィンガーエラー」を犯しました。

この時はだいたい1ドル150円くらいだったので、89200ドルは約1338万円!

送金したかった2262ドルは34万くらい。この時の気持ちを思いやると青ざめますね(^^;

このユーザーは、ウォレットの「カスタム手数料設定」機能を使って、ガス代を手動入力していたようです。

通常であれば10〜50Gwei程度で済むところ、誤って数万Gweiといった極端な値を入力してしまったのですね。

しかし、間違った入力だとしても、条件を満たしていれば「有効なトランザクション」として処理されます

そして特に返還はされないという……。

 

恐ろしいことですが、送金額と手数料を混同する、単位(ETHとGwei)を取り違える、という人為的ミスはよくあることです。

なお、こうした明らかな設定ミスだけでなく、「ガス代なんてたかが知れてる」と軽く考え、ネットワークが混雑している時間帯に何度も取引を繰り返し、気づけば利益が手数料に消えていた……というケースも少なくありません。

DeFiやEthereumを利用する際のリスクの一つとして、特に初心者は注意です。

 

ガス代を軽視した失敗を回避するには

 

手数料設定の確認を徹底

 

取引の前には必ず手数料設定を確認しましょう。

ウォレットやDAppが提示する自動設定(推奨手数料)を使うのが安全です。

特にMetamaskなどは、取引の混雑状況に応じたガス代を提示してくれるため、まずはそのまま利用するのが無難です。

カスタム設定を使う場合は、単位や桁数を慎重に確認しましょう。

ETHのガス代は通常「Gwei(ギガウェイ)」という単位で設定されますが、誤って「ETH」単位で入力してしまうと、100万倍以上のガス代になってしまうことも……!

 

ネットワークの混雑を回避

 

Ethereumなどでは、ネットワークの混雑状況によってガス代が大きく変動します。

  • 平日昼間は高め
  • 深夜〜早朝は安くなる傾向

時間帯を選ぶだけで、同じ処理でも数分の1のコストで済むことがあります。

また、Etherscanの「Gas Tracker」や「Blocknative」などのツールを使えば、現在の相場に対してどのくらいの手数料が適正かを確認できます。

 

小額でテスト送金

 

高額な資金を送金する前に、まずは少額(数百円〜数千円)で試してみるのも一つの手。

手数料や送金先アドレスのチェックも含め、テスト送金はミスを未然に防ぐ有効な手段です。

 

Layer2や他チェーンを活用

 

「Polygon」「Arbitrum」「Optimism」などのL2チェーンは、ガス代が劇的に安いのが特徴です。

頻繁に取引をする場合や少額の取引なら、L2チェーンやガス代の安いチェーン(BSCなど)を活用するのも良いですね。

 

過信が招く失敗:甘い期待が判断を鈍らせる

 

暗号資産の価格変動の激しさは、他の金融資産と比べても段違いです。

一時的な高騰に浮かれて「もっと上がるはず」と利確せずにホールドし続けた結果、暴落に巻き込まれて含み益が消え、「下がった今売るのは損だから…」と売れず、最終的に大きな損失を出してしまう。

このパターンは、まさに仮想通貨あるあるです。

「将来的には上がる」という希望が損切り判断を鈍らせる一方で、仮想通貨の世界では、数ヶ月単位でトレンドが反転することも珍しくありません。

感情に流されてホールドしすぎた結果、資産が半減…なんてことも。

次にご紹介する実例は、ボラティリティの軽視と高利回りへの過信が重なった不幸なケースです。

 

実際の事例:ステーブルコインUSTとTerra(LUNA)の崩壊

 

ステーブルコインUSTは、1ドルの価値を保つよう設計されたアルゴリズム型の暗号資産でした。

多くの投資家が高利回り(Anchor Protocol)を求めて、わりと安心して資産を預けていたのです。

USTはLUNAトークンと連動するメカニズムによりペッグを維持していました。

しかし、2022年5月にUSTが1ドルを割り込むと、投資家はパニック売りを始め、LUNAの発行量が暴増。

結果としてLUNAの価格は数日で100ドル以上から無価値同然(0.0001ドル以下)まで下落しました。

この時、多くの投資家は「必ず戻るはず」とUSTやLUNAをホールドし続け、結果的に取り返しのつかない損失を抱えることに。

Anchorが「年利20%」という破格の利回りを提示していたことも相まって、「売らずに待つ」心理が裏目に出た典型です。

損失額が世界規模かつ深刻な(自殺者も出たと言われている)大事件でした。

 

過信が招く失敗を回避するには

 

冷静で計画的な投資

 

・投資の分散

→リスクを分散させるために複数の資産に投資するのが賢明。

・長期的視野を持つ

→短期的な価格変動に惑わされず、長期的な目線を忘れない。

・損切りラインの設定

→損失を最小限に抑えるため、あらかじめ損切りラインを決めておくと焦らずに済む。

 

暗号資産市場では、価格の急激な変動に直面することが多いため、感情に左右されない冷静な判断力を持つことが重要です。

といってもなかなか難しいので、準備と心づもりをしておきましょう!

 

自動化された投資手段の利用

 

「自動取引ボット」や「ドルコスト平均法」のように、投資のタイミングを自動化する方法もあります。

ストップロス設定(損失が大きくなる前に自動で売却)をしたり、欲を出しすぎず定期的な利益確定のルールを決めておくのも有効ですね。

感情に左右されることなく、計画的に取引を進めることができます。

 

情報収集とリスク管理

 

市場の動向や新たな規制、テクノロジーの変化に敏感であり続けることも重要です。

そして、不確実性の高い資産に投資するなら、リスク管理は事前に徹底するのが鉄則です!

 

まとめ

 

DeFiの世界は面白いし、上手くいけばすごく稼げるチャンスもあります。

でも夢がある分、思わぬ落とし穴も多いのが現実です。

「高利回りだから安心でしょ?」「まあ大丈夫」みたいなノリで突っ込んでしまうと、あとで後悔することも……。

大事なのは、期待しすぎず、ちゃんと準備すること。

感情的にならず、コツコツ冷静に進めていくほうが、結果的に生き残れる可能性は高いです。

DeFiは自己責任。

でも、だからこそ自分次第でうまくやれる世界でもあります!

 

この続き、「他人の悪意編」はこちらから。

 

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